彼は来なかった
約束をした一ヶ月前
ただ会えることが嬉しくて胸が弾んで馬鹿みたいに嫌な仕事も懸命に熟した
一週間前
待ち切れなくて彼にメールをした
何があったかは今でも解らない
突然連絡は取れなくなった
アドレスも番号も変わっていた
遠くにいる彼
でも会えるとゆう約束で心は近づいた
近づく約束
それなのに彼が二人の住む場所より遥かに遠い存在に変わる
『待ってるね』その私からの連絡を最後に途切れた関係
それでも待った
約束を信じて部屋で一人待ち続けた
この日が終わるまで待つと決めた
希望を捨てない様に
涙は流さない様に明るい歌を部屋中に響かせて二人分の料理を作った
夜の十二時が近づく
もう時計を百回以上見た
変な緊張感で手足が冷たくなる
忘れたのだろうか
何かあったのだろうか
連絡も取れなくて不安で一杯になる
考えてみれば私達はただの友達で『好き』だなんて言ったこともなければ言ったこともない
明らかなことは私は片思いをしているとゆうこと
想いを口にしていれば
彼に会えたのだろうか
考えるのも辛くて目の前に並ぶ料理が寂しい
いつしか歌も終わり静か過ぎる部屋が孤独を造るから窓を開けた
外から鳴る強い雨の音で寂しさを埋める
色んなことで気持ちを紛らわしてみても本当は孤独に変わりはない
どんな情景も音も虚しくて悲しく響く
彼の姿を見ることはなかった
残された一つの頼り
届きますようにと願いを込めて彼に手紙を書く
『何で来なかったの』とか『待ってたのに』とかそんな惨めな言葉は残さない
『貸してた本良かったら送って』
そう一言だけ書いた
本当はそんなのどうでもいい
会いたかっただけ
好きって言いたかっただけ
封をする瞬間涙が止まらなくなった
良く我慢をした
笑って待とうって笑って迎えようって決めていたから
もう十二時を過ぎてしまったから一杯泣いてもいいんだ