朝。
ミリスが眠そうな目をしながらキッチンへ行くと、そこからは香ばしい朝ご飯の匂いが漂ってきていた。
「あ、おはよう、ミリス姉ちゃん」
そこでは、ロイとミリスの母親のサリア、そしてエミリアが、忙しそうに朝ご飯の準備をしていた。
「おはよう…って、ロイ、料理できんの!?」
ミリスはロイが料理をしている姿を見て驚いた。
「うん。母さんが亡くなってから、家事は僕の仕事になってたから」
「…じゃあお兄さん達は何やってたの?」
「兄さん達は仕事。剣の教練と、鍛治で忙しかったから。まあ、僕は…その、これしか正直手伝えることが無かったから」
ロイは寂しそうに言った。「ロイ君、自分を卑下しちゃダメよ」
サリアはそう言うと、ロイの肩に手を置いた。
「貴方はお母さんが亡くなった後、しっかりとお母さんの仕事の大部分をこなしてきたのよ。誇っていいと思うわ」
「叔母さん…ありがとうございます!」
ロイは微笑んで、感謝した。
「おー、お早う、今日もうまそうだなあ」
その時、キッチンにセイルが欠伸をしながら、眠そうな顔で入ってきた。
…やっぱ親子だ―\r
ロイは入ってきた二人を見つめながら、心の中で呟いた。