10分休憩も昼休憩もいつも歌好と未希は一緒だったが、今日は別々にとっていた。
いつもなら歌好と未希はお客サンを案内することが多いのだが、今日は未希が案内で歌好が一人で受付に入っていた。どうしても未希と一緒は気まずかった。一緒だとしても無視されてしまうだろう──
歌好は未希のことを考えながらうつむいていた。
「今日忙しい??」
ふと、声をかけられた。
「あっ…いらっしゃいま…」
歌好はやっとの思いで笑顔を作って顔をあげると、
「歌好チャン。」
…竜くん───
「きのうは…その…ゴメン。」
竜は申し訳なさそうに言った。
「…いやあたしが悪いんだし……」
「未希…どう??」
「未希チャンには…きらわれちゃったぁ…口きいてもらえない」
歌好はまた泣きそうになった。
「────…そか…俺もなんだ。あの時、未希追いかけて行ったのはいいけどアイツずっと無言…電話もメールも返ってこない。」
そうなんだ…
「まぢ俺が悪い!!ゴメン!!」
竜が頭を下げた。
「頭あげて…竜くん。」
歌好は、決心したように内線でどこかに電話をかけはじめた。
『はい。』
「未希チャン!?歌好です!!今すぐ受付まできて!!」
『──え…??』
「いいから今すぐッッ!!」
そう言ってすぐ電話を切った。
竜は歌好の行動にただただ驚いていた。