Mind Adventure 1

籬 規那  2008-02-22投稿
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たゆんだ世界をゆらゆら漂う。


「ぅじゅ……」


「妖需!!」


あかい。
茶の混じった、それでいて鮮やかな赤髪が真っ先に目に入った。

身を起こすと、声と赤の持ち主と、ばちっと目が合った。

相変わらず目つきが最悪だ。褐色に近い肌に、赤い髪。それだけで目を引くというのに、この眉間に寄りまくったシワを見たら………子供なら泣き出してもしょうがない。


「もう、陽が昇った」


「行くぞ」





――私達は、旅をしている――


金色の髪が風に嬲られる。

「よっ、と」

足場の悪い大地を下り、軽くステップを踏む。

緑がさわり、と揺れる穏やかな風の中、少女、水無月 妖需は考えていた。


「この森を抜けると―」
びくぅっ!!

完全な不意打ちだ。ジン=エコラ=サーナールが、黒い目をくりくりさせながら、妖需の顔を覗きこんでいた。


「どした?」
きょとん、と首を傾げる。

「……妖需さん?」
ぎょっ!!

透き通る白い肌。柔和な瞳に色の異常に薄い髪がよく映えている。

絵に描いたようなマリア像、というのは、こういうのを言うに違いない。

彼女の名前はメシア=ネイル=ユセラ。


(ほんとにこのこ、可愛いな―)

ぼへ―。


「……妖需さん………?やはり、昨日の魔物との戦闘で、打ち所が……?」

「へっ!?ううん!?大丈夫!ちょっと考え事してて」


「異常があったらすぐに言ってくださいね? それから、ジンさんが、もう少し行けば港に付くと………」

「了解!」



始まりは唐突で―――\r

動き出すまで気付かなかった。

思えば私達はこの時既に、平安の中には居なかった。



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