場に緊張が走った。全員が恐怖と興味の感情を持つ中に。
「っ、ははは。」
「?」
急に悟は笑いだした。
「冗談だ。マジになるな。」
一同安堵した。
「これからは闘わないこと。それだけだよ。」
「わかりました。」
準はそう返した。
「じゃあね」
それだけあっさり言って帰っていった。
それから少しして、クラスのメンバーはだいたい練習に戻っていた。
「あ、あのー」
準が振り向くとあの少女がいた。昨日とまったく同じ状況である。
「ありがとうございます。」
「なんで本当のこと言わなかったの?」
準は少女にきいた。
「ええと・・・」
彼女はもじもじして
「すっかり忘れてたんです」
と、言った。
「・・・クス」
準は小さな声で笑った。
聞こえたらしく、彼女は顔を赤くした。
「名前・・・」
「えっ!?」
「名前、なんていうの?」
準は笑顔で言った。
「白崎、桜です。」
「僕は太田準。友達になろう。」
桜は一瞬驚いた顔をしたがすぐに笑顔に変わった。
「はいっ!」
それは今日、準が聞いたもっとも元気の良い桜の声だった。準は学校が楽しくなっていた。