最後の言葉さえ

なお  2008-02-24投稿
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「「…………」」


二人で、一つのベッドに横になり、眠りにつく。

いつからか、そんなやりとりも当たり前になっていて。

俺も、いつかのときめきを忘れかけてた。思いだそうと…していなかったかもしれない…


冷めた愛。


それが、ここにある。


俺たちは、愛なんてものをもう二度と歌えない。


無機質なベッドの感触が、やけに悔しかった。


別れの気配が、漂っていた……


「……………」


彼女が、起き上がり、ベッドから出た。

俺は、少し戸惑いながらも、寝たふりをしていた。


「ごめんね」


愛のない言葉が、心を砕いた。

切なさは、不思議と無かった。


「バイバイ」


ガチャン……


静かになった部屋に、悲しみがあふれた。彼女のずるい別れ方が、やけに嫌で…

だけど、追いかけられずに、寝たふりをしている自分が、まだここにいた。


「………さよなら」


最後につぶやいた言葉は、やはり別れの言葉で。

気配を察知していたからだろうか。

涙も後悔もなかった。

残ったのは空虚間だけ。


さよなら。


部屋の無期質感に消えた言葉。


最後にもう一度だけ言おうか。

さよなら…



愛した人……




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