「やっぱうまいわ、ここのたこ焼き。」
アキラがたこ焼きを口の中で転がしながら言った。
「うん、確かにうまい。」龍一もたこ焼きを味わいながらアキラに相槌を打った。
「やっぱさぁ、この外側のカリカリ感と中のトロトロ感がうまさの秘密だと思うんだよね〜。そんで特性のオリジナルソースがまた・・・」
「アキラ。」
たこ焼きの解説をしているアキラに龍一は割って入った。
「そんな事言うためにここに連れてきたんじゃないんだろ?」
「・・・やっぱ分かる?」アキラが無理矢理ここに連れてくるときはだいたい何かある時だ。
「ああ、今回は何だ?女にフラれたか?成績か?それとも・・・」
「まぁまぁ、食った後に話すから。」
アキラがそう言った後、二人はたこ焼きをたいらげ、店を出ると辺りはすっかり暗くなっていた。しばらく歩くと、アキラは口を開いた。
「俺さぁ、ガッコ卒業したらアフリカに行こうと思ってんだ。」
「・・・なんでだよ?」
突拍子もないことを言いだすアキラに龍一は聞いた。「アフリカで食料とか、生きるのに苦しんでる人をボランティアで救いたいんだよ。」
「・・・ククッ」
アキラの話に龍一はクスクス笑った。
「笑うなよ・・・マジだよ、俺は。」
「いやいや、お前らしいと思ってな。」
微笑みながら龍一は言った。
「しかし、いくらなんでも急だなぁ。」
「昨日、テレビでアフリカの子供達の特集やってたんだよ・・・それで決めたんだ、俺がどうにかするって。」
「・・・安易な奴。」
「安易だろうが何だろうが、決断したよ、俺。」
そういったアキラの目は間違いなく本気だった。
(決断・・・か、俺にもそんな時が来るのかな・・)夜空を見上げながら龍一は考えた。