「ちょっと、ディズ?!あんたのせいでママからあたしがあんたを探しにいけって言われたじゃないの?!」
イヴだ。魔女らしい格好はしているが、実は魔法の腕は半人前なのだ。
「だから、何?」
「さっさとアルフの所に帰れって言ってんの!魔法の実験してるところだったんだから!!」
イウ゛はかなり怒っている。
ディズは、むくりと起き上がると、イヴを見た。
「魔法も失敗ばっかのくせに実験ってなんだよ。」
「はーあ?!王子のくせに生意気で言葉使いの悪い奴に言われたくないわよ!」
イヴからのディズへの最大のイヤミだ。
「だったらなんだよ。オレは…。」
突然黒い霧が現れた。イヴは、ほら見ろ!という顔をした。
「はーい、そこまでー。イヴ?アルフは時間がないのー。王子も行きますよ。」
ディズは、仕方なくフィレンとイヴに着いていった。
反抗しないのは、フィレンに逆らうと、かなり怖いことを昔の経験から知っているからだ。
城の噴水広場には、大臣アルフと、ディズの母親であるフロリス国の女王が話をしていた。
「連れて参りましたわ、大臣アルフ。」
「おぉ、ディズ王子!いったいどこにいたのです!」
ディズは、横を向いたまま黙っている。
「フィレン、ご苦労でしたね。イヴも。ディズ・ビオラルド?サミットまで時間がないのですよ?」
女王は、静かながらに少し困った声だ。
「分かってるよ!」
「ディズ、ライラミン国とは長い付き合いがあるのです。そう、長い…。」
「だから戦争は嫌だって言ってるじゃないか!」
ディズの言葉に、何も知らないイヴは、息をのんだ。
「どういうこと?戦争って。ママ?女王様、アルフ?ディズ、なんなの?」
「イヴ、いずれ分かることです。」
女王は目を伏せた。
「仕方ないの。イヴ。ママ達は…。」
ディズはそんなイヴを見て、言った。
「アルフ、時間ないんだろ?母さんも。父さんは?」
「王の間におられます。では、女王陛下。行きましょう。」
アルフの言葉で、女王は動いた。
「では、フィレン。サミットに行きましょうか。」
「はい。じゃー、イヴまた後でね。」
戦争?戦争ってどこと?気になって仕方ないイヴは、四人を見送った後で決意をした。あたしも、サミットに出てやる!と。