(なッ!?わ、我々は…)
カリプソの艦長は余りにも当然な反応を示した。
「幸いこの空域の制空権は完全に我が方の物。サイタマ基地まで辿り着ければ……」
(そんな!もう沈みそうなのに!)
「艦長殿……余り私を困らせないで頂きたい。私は自分の任務を果たそうと必死なのです」
(ですが!)
「…我々は任務遂行の為にあらゆる障害の排除を許されています。…できればこの権利。敵軍に対してのみのものであって欲しいものですね。艦長?」
顔面を蒼白にしたカリプソの艦長は、下をうつむき、消え入るように言った。
(了…解しま……た)
「よろしい」
今の命令を出した理由は2つだった。
1つは補給艦カリプソの墜落は時間の問題だったという事。
もう1つ。………『desperate』と呼ばれる兵器。それを早く見たかった。
総てに絶望したはずの自分に、まだ絶望を見せてくれると言うのだ。
胸が高鳴る。血が揺らぐ。
ふと、自分に向けられる鋭い視線に気付く。先程襲い掛かってきた、羊。
「待っていてくれたのか?律儀な子だ」
絶望よ。暫し、待つがいい。お前を見せてみろ。
私もすぐ行く。
「この子羊に絶望を味あわせてからな!!」