一人暮らしの俺はいつものように夕方に起きて、顔を整え、身支度をし、バイトに向かう。
赤木 哲也(あかぎてつや)21歳 フリーター 今はレンタルビデオ店で店員をやっている。
「いらっしゃいませ〜」
いつものようにやる気がない。
それもそうだ。このレンタルビデオ店はアダルト専門店であり、もしかしたら可愛い人が…という期待もない。 店員も店長と俺だけという色んな意味で奇跡的な店だ。
そんなある日、いつものように段ボールからビデオを出し、棚に並べていると一人のお客さんが話しかけて来た。
「ちょっといいですか?」
そのお客さんは見た目からして俺と同じぐらいの年齢で顔を見られたくないのか深く帽子を被っていた。
「どうしました?」
俺は軽く愛想笑いを含めながら聞き返した。
「このビデオ…全く映らないよ……ここで買ったんだぞ。だから、返品しにきた。」
クレームみたいだ。二年間働いて初めてのクレームだったため初めは戸惑いもあったが対処した。
「確認しますので少々お待ち下さい。店長にも確認しますので。」
「やめろ!!俺はお前にこのビデオを返しにきただけだ。」
「バシッ!」
そういうと男性のかばんからおもむろにビデオを取り出し、ぶつけてきた。
そして、このビデオは俺の人生を狂わしたんだ。