「ほう、逃げるのか？ヒョロリン。それとも、怖いのか？」
少年はにやりと笑って、ロイを罵った。
「戦う理由が無いし。しかも、僕は姉ちゃん達の恋人じゃ無いよ。そっちの勘違いだ」
「ね、姉ちゃん!？」
その言葉を聞いて、少年は驚愕の表情を浮かべた。
「そうだよ。正確に言えば従姉妹なんだ。姉ちゃん達は」
「…従姉妹。という事は、お前、今はこの家に住んでるのか！？」
「まあ…、そうだけど…」「な、何ぃぃぃ！！一つ屋根の下じゃねえか！やっぱり生かしておけん、勝負だ、ヒョロリン!」
少年は顔を真っ赤にして、剣を構えた。
「だから、何でそうなる!」
「ちょっと、うるさいわよ、何してるの！？」
その時、ミリスが怒った顔で、道場の中に入って来た。
「…あら、ルイスじゃない。剣なんか構えちゃって、どうしたの？」
「えっ、いや、これは、その…」
ルイスは慌てて剣を鞘に収めた。
「？まあいいわ。それじゃ後で指導に来るから、準備しときなさいよ」
ミリスはさして気にした様子も無く、出ていこうとしたが、ふいに悪戯っぽい笑みを浮かべながら振り返って、
「ルイス、姉妹丼を目指したいなら、今の百倍は練習しなきゃ駄目よ」
と言って、道場を出て行った。
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