弁慶が放った真空波は僕の頭をかすめてユキナの方に飛んでいった。
そして、ユキナの体を切り裂いた………
「ユキナ!!!!!!!!」
僕は怖くて固まっている体をどうにかして動かしユキナに近づいた。
かろうじでユキナの上半身と下半身はくっついているがどうみても助かる見込みはない。
「タ…ケル…。逃げ……て…」
ガクッ
僕の目の前で、またしても幼なじみが死んでしまった。
「しまったのお。つい力を入れすぎて手元が狂ってしまったわい。まあよいわ。後ろから来たゴミを殺せたからな、シャシャシャッ。」
この言葉で僕の頭の中で何かが切れた。そして、体の底から力が湧いてきた。
「ウオォォォォ!!!!」
メキメキメキメキ!!!!
怒りのあまり我を忘れた僕は、本能に従い吼えた。
すると、体が弁慶の様な姿へと変わっていった。
しかし、弁慶の真っ青な色とは違い、僕の体は真っ赤に染まっていった。
そして、何よりも違うのは弁慶とは比較にならないほどの鋭い爪と額にある3つめの眼だ。
「何がゴミやろおだ!!このクソ野郎がぁぁ!!!!!」
その瞬間、僕の体は何かにのっとられた感覚がした。
体の自由がきかないのだ。
そして、右手から弁慶と同じような真空波が放たれた。
だが、弁慶の真空波と比べたら半端なく大きい。
ズシャャャッ!!!!
「グハッ、なにっ………!?」
弁慶の体は僕の放った真空波により真っ二つに切られた。
「おのれ!!!!貴様何者だ!?」
『我を忘れたたのか、弁慶?』
僕の意志とは別に、僕は勝手に喋り動いている。
『我を忘れたのか、弁慶よ?』
「貴様は、ま、まさか……!?」