田舎から上京して、もう、10年が経った。
あの頃の私は、色んな事に夢中で、ただ毎日我武者羅に生きてた。
傷ついて、傷つけて…
でも、楽しかった…
私は盆休みに田舎に帰る事にした。10年ぶりの故郷…何だか、照れ臭い気持ちだった。
電車に揺られて、私は故郷に戻ってきた。あの時と変わらない風景…何もかもが時間が止まったかのようにあの頃のままだった…。
駅に着くと、入り口の辺りに母がいた。白い帽子を手に持って、私に合図をしてくれた。
『あら〜元気にしてたん?久しぶりにあんたの顔見たわぁ〜』
相変わらずの母を見て、私はホッとした。
家までの道程を母と一緒に歩いた。いつの間にか、母の背中は小さくなり、私の方が大きくなっていた。
『ねぇ〜お母さん?よく、小さい頃も歩いたよね?』
『そうだねぇ〜…いつの間にか、大きくなって〜……何だか寂しいもんだね〜』
仕事が忙しくて、中々帰れなかった。母の少し寂しそうな顔を見て、何だか申し訳ない気持ちになった。
家に着き、玄関のドアを開けた。中からは懐かしい香りが私の記憶を蘇らせる…タイムスリップしたみたいだ…。
『ねぇ?そう言えば、高校の時にタイムカプセルしたでしょう?明日学校で開けるらしいわよ〜行って来なさいよ〜』
(タイムカプセル…)
あれは高校の卒業式の日…3年生皆でタイムカプセルを作った。私は何を入れたか覚えてないけど…。卒業式の次の日に上京したから、皆と会うのはすごく楽しみ…。皆変わったかなぁ〜?
翌日、私は期待を胸に母校に向かった。何一つ変わっていない校舎…。よく友達と燥いだ中庭…。全てが懐かしい。
学校の中に入ると、もっと懐かしい気持ちになった。青春だったあの頃…。
体育館に入ると、中には人がたくさん集まっていた。
『あっ!!もしかしてぇ〜…美紀?柏木美紀?…覚えてる?優梨だよ!』
『優梨!?久しぶり〜!!!!!覚えてるよ〜。優梨も変わってないね〜?』
『えっ?そう?これでも、子供3人居るんだからね〜美紀は結婚したの?』
私は旧友と久しぶりに会って、あの頃の時のように話した。