それから、さえとはバイトで会っても話してもらえなくなった。
かいとは、バイトの終わりが一緒になると、りなが先にあがって5分後くらいに追い掛けて来てくれ、家まで送ってくれた。デートも重ね、2人で旅行も行った。気が付けば付き合って1ヵ月半が経った。もちろんさえとの距離は縮まることはなかった。
バイトの仲間にはさえが「りなにかいとを盗られた」と言い触らされて2人が付き合っていることは、バイト中で噂になっていた。りなは、かいとと付き合っている幸せよりも常に苦しさの方が大きく、かいととの付き合いが苦痛になってしまっていた。
かいとは、りなのことを大切にしてくれ、話す度に「さえのことや、バイトの噂なんて気にすんなよ。俺とりなが付き合ってるんだし、お前のこと好きな気持ちに変わりはないから。」と言ってくれた。
かいとへの気持ちに変わりはないけど、そんな風にいつも励ましてもらっているこてがりなは辛くて仕方がなった。