て言っても勝手にコイツが、ちょっかい出してくるだけ。
鬱陶しいけど、邪魔だとかは思ったことはない。
なんか、この感じは嫌いじゃない。
* * * * *
「腕痛い…」
「勘弁してー」
一限目中ずっと廊下でバケツを持っていた腕は悲鳴を上げている。
どれもこれもコイツのせいなのに、悪びれたふうもなく笑って誤魔化そうとする。
「ったく…何処までもムカつくやつね」
「生まれつきでございます」
皮肉たっぷりに言えば、皮肉たっぷり倍増で返ってくる。
でも、けして嫌な雰囲気の会話ではなく、それはお互い解りきっていることだから。
「でも、ま…一限目は嫌いな授業だったからいっか」
「じゃ、二限目もこの調子で‥「フザケンナ。」
むぅー…と机にうなだれる翔。
褐色のやわらかい感じの髪が風でサラサラなびいている。
「じゃ、あたしはこれで」
「?どこ行くの?」
「菜月が呼んでる」
それだけ言うと、スタスタと翔から離れていった。
なぜが、見慣れたはずの顔が、もの凄く美形で、当たり前だけど、凄いかっこよくて…つい見惚れてた。
(あたしの馬鹿…)
トキメキは無い、け、ど…
なんか、変な感じ。