白黒の恋??

ソウキュウ  2008-02-27投稿
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キョンの目は真剣だった。まっすぐに、俺の中に入り込もうとしていた。
それを受けて俺は口を開いた。


そう、俺には親がいない。ものごころついた時には施設にいた。学校では親がいない事を理由にいじめられて泣きながら施設に帰ったのを覚えている。施設の人や仲間に慰めてもらった。中学生になって自分の戸籍というのを初めて見た。俺の両親は確かに生きている事がわかって探したんだ。でもお互いの記入されていた住所に足を運んだけどそこには違う表札があった。消息不明。

ショックだった。

俺に足りないもの。それは親からの愛情なのかもしれない。そんな事を知らない俺に人に愛情を与える事が出来るのか正直わからなかった。怖かった

俺はキョンに過去を教えた。観覧車はてっぺんに来ている。キョンは
『隣に行っていい?』
と言って僅かな隙間のある横に座った。キョンの温かさが伝わる。バランスを崩した観覧車はまるで二人の時間や空間を延長するかのように少しずつ動いていた。
「…これが俺の過去だよ。ある意味寂しい人間でしょ(笑)」
キョンは俺を見つめた。そして顔を俺の胸に寄せて来た。

『無理しなくていいのに…』
肩が震えている。キョンは泣いていた。温かい涙が俺の服に染み込んでくるのがわかる。

『泣く事しか出来ないでごめんね。私何もしてあげてない、ホントは何かしてあげたいのに涙しか出てこないの…』
俺は泣いているキョンを抱きしめた。
キョンの優しさ全てが伝わってきた。背中をポンポンと叩き、
『ありがとう、いいんだよ。自分を責めたらダメ。キョンは俺にいろんな事を教えてくれてるよ。』

『あのメールね…』
すすりながらキョンは話し始めた。あのメール?朝のかな?
『実はソウキュウの事を友達に相談してたの。』

え?

「気になる人がいるってキョンは他に好きな人が…」
『?何の事?』
展開が早過ぎて上手く受け入れられない俺がいた。気になる人が俺なのか?それを間違えて友達にメールするはずが俺にメールしてしまった…。
あぁ!
「ちょっと待って!」
話を止めてしまった↓
『うん?』

急にどうしたのかとキョンは俺を首を傾げて見つめている。
俺はどうやら架空の人間をくっつけておかしな三角関係を作っていたようだった。



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