どうしてだろう。
雪の降る日は憂鬱になる。
ふわふわのくせっ毛。
すこし赤くなった頬。
肩に積もる雪。
歩幅の広い足跡。
振り返るその、瞳。
俺の名を呼ぶ声・・・・。
全部、あんたなんだ。
どうしようもなく、あんたなんだ。
愛している。
愛しているんだ。
小声でつぶやいた俺の声は、雪に吸い込まれてしまって。
あんたまで消えてしまいそうな気がした。
「愛しているんだ。」
もう一度、確かめるように繰り返し、俺は目の前の後ろ姿を追い掛けた。
雪に邪魔されないように。あんたに聞こえるように。