『さよの手は気持ちいいよね』
『そう?』
彼の胸においた私の手を握りくにゅくにゅと触る。
『ふくふくして柔らかくて』
『どうせ太ってますよ』
『そうじゃなくてさ…』
赤ちゃんの手みたいだ、と言われたことがある。マニキュアの似合わない貝爪と短い指。
『気持ちよくて、いやらしい手だ』
『いやらしい?手が…?』
『そう。いやらしい手』
『いやらしいことするからでしょ…』
私はやんわりと彼自身を握る。
形や硬さを確かめるように、掌全部を使って包み込む。
そして五本の指をくすぐるように少しずつ動かす。
『カレ』がヒクリッとし、密度が満ちてくる。
手を動かしながら、私は彼の顔を見る。
目を閉じて時々深い吐息とともに辛そうな顔をする。彼の欲情が伝わる。
私がいやらしい気持ちになるから手もいやらしいのだろう。