そう言うと、リリーは倒れているルイスを引きずって、
「はいはい、さっさと準備しなさい」
と、言って、更衣室へと放り込んだ。
「…」
ロイは少しルイスを気の毒に思いながら、掃除を再開した。
ちょうど掃除が終わった時、うなだれながら防具を身につけたルイスが、更衣室から出てきた。
「…大丈夫か…ルイス?」ロイは心配そうに、ルイスの顔を覗き込んだ。
「…ああ…。まあ、嫌われてなさそうだったから、まだ大丈夫だ」
「ミリス姉ちゃんはよっぽどの事が無い限り、他人を嫌う人じゃ無いよ。…しかし姉妹丼なんてよく目標にしたね」
「ふふふ。当たり前だろう?あの美しい二人をメロメロにさせる事こそ、男の夢、否、義務だ!」
ルイスは握り拳を掲げた。「…ただ、二人が他の男を好きだった場合は潔く諦める。これは男としてのケジメだ」
「そうか…」
その純粋な思いに触れ、ロイはルイスに対する印象を改めようと思った。
そうこうしている内に、リリーが防具を着て道場に入って来ると同時に、ミリスとエミリアも防具を身に付けて道場にやって来た。
「あ、ロイ、あんたには父さんの使ってた防具があるから。それ使いなさいね」