深夜一時 突然キミから電話がかかってきた。
「助けて」
僕は、すぐにキミが泣いているのに気がついた。居てもたってもいられずに、僕は上着も着ずに家を飛び出した。
「待ってろ!直ぐに行くから」
僕の家から彼女の家までは走って10分。かなり近い。
夜桜が狂おしいほどに咲き乱れる大通りを僕は全速力で走り抜ける。
春の夜はかなり寒い。僕は、走りながら上着を着て来なかったことを少し後悔した。
キミは春の時期になると変になる。そう、アイツが死んでから毎年だ。
やっぱり何年たっても忘れられないのかなぁ…そんなキミに僕は何ができるのだろう。
考えながら、僕は桜並木の下を走りぬける。愛するキミの元に向かって。