走って走って、僕はやっとキミのマンションについた。
「大丈夫か?深雪」
「佐倉くん…」
キミは、青白い顔で震えながら泣いていた。佐倉と言うのは、3年前に死んだ僕の友達の名前だ。
「佐倉くん…迎えにきてくれたのね?」
僕は、キミを抱きしめて優しく諭す。
「違うよ。僕は斎藤だよ。深雪…佐倉はキミを迎えにはこられないんだ。よく聞いて。佐倉はもう死んでしまったんだよ」
キミの顔が以前に増して青ざめる。
「…違うわ…嘘よ。そんなの…佐倉くんは死んでなんかいない…いやぁぁぁぁぁ」
キミは泣き崩れながら僕の胸をドンドン叩く。まるで聞き分けのない子どもみたいだ。
キミがこんな姿になるなんて、あの頃の幸せそうな笑顔からは決して想像できなかっただろう。