ロック!?

MMLP  2006-04-23投稿
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親父の病室には母と兄貴がいた。 母は泣きくずれ親父の手を握りしめている  「兄貴…親父は…」(浩紀) 「…医者は、手のほどこしようがないって言ってた…もう…だめだ…」(兄貴) 病室には母の泣き声だけが響いている。  「浩紀…こっちに来て親父に顔を見せてやれ」(兄貴)  久しぶりに親父の顔を見た気がした。  「親父…こんなに痩せてたっけ…」(浩紀)  親父は痩せこけてシワも増えているようだった、俺は昔の陽気な親父の顔を思い出していた。  「浩紀…か…?」(親父) 親父がゆっくり口を開いた。 「何…?」(浩紀) 「俺のドラム…俺が……死んだら処分してくれ…いつまでも俺がいるみたいで…嫌だろ……?…お前…俺のこと嫌いだったからなぁ……」(親父) 親父は無理に笑ってみせた。 俺は後悔していた、親父をずっと無視していた、もっと親父としゃべりたかった、ドラムのことももっと教わりたかった。 急に目のあたりが熱くなる。 俺はそのまま親父に何も話せなかった。 親父は息をひきとった。 それから親父の葬式や通夜で忙しくなり数日後にやっとゆっくりできるようになった。 俺は親父のドラムの前に座っていた、この部屋に入るのは久しぶりだ。 スティックを握り1人その部屋でドラムをたたきはじめた。 たたいているうちに頭の中に親父のことが思い浮かんできた。 今は親父はいない、でもドラムをたたいているときは親父がいる、親父を感じることができた。



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