いつでも私の前を歩くあなたは私の憧れだった
綺麗で眩しくて羨ましかった
だから懸命に頑張った
どうにか追い付こうと早く歩こうと
隣に並びたくて
あなたと同じ風を感じたくて必死だった
あなたが髪を切った日
何だか大人に見えて何だかどきどきして上手く顔が見れなかった
そんな少しずつの変化がまた私の想いを大きくする
そうやってあなたは私より大人になって行くから心の不安や焦りが増えて行く
私も髪を切った
少し化粧も変えた
爪を伸ばしてみた
マニキュアを塗った
あなたが好きそうな色の服を選んだ
香水を付けてみた
自分を変えて私も大人になりたかった
一生懸命だったのに
褒めてもらいたくて
好きになってもらいたくて
どうしてだろう
生きる世界が違い過ぎる
変わっても変われない
どんなに大人に見せようと姿を変えてみても
心までは変えられない
ただ駄々をこねてしがみつく子供の様にあなたの背中にすがるだけ
走ってあなたの腕を掴んでもすぐに擦り抜けて行く
もう少しだけゆっくり歩いてくれたら
後ろを行く私を振り返ってあなたの綺麗な手を私に差し出してくれたら
寂しい
歩く歩幅が違い過ぎるから追い付けない
待ってはくれないあなたの姿を見つめる心細さ
孤独を伴った時肩の力が抜けて体中の熱が引いて行く
疲れてしまった自分がそこに居る
もう焦って頑張って走る事に疲れた
あなたはいつまでも私の憧れだけど
追い付ける人ではない
大好きでした
大人になりたかった
だけどあなたにはなれない
足を止めて不意に出る溜め息
少し生き急いだかな