「いっ…てぇ!」
平田は開いていた教室に転がり込むと、そのまま倒れた。背中に乗せていたゆかりがごろごろと床を転がっていった。
痛みに顔中が歪んで、脂汗が止まらない。かすかに目を開くと、ざっくりと裂かれた患部に目がいく。
腕には傷はない。さっき袖で拭いたときに血がでていないことを知った。
ただ、皮膚から血が滲んで痛みが激しいだけ。
気色悪い傷だと思う。
(けど、縫わなくて、いいってのだけが、幸いだな)平田はにやりと笑った。
(それより、間宮…は)
「………ひら……た…?」声のした方を見上げると、眼帯がとれ杖なしで立ち上がろうとしているゆかりがいた。
「おま、馬鹿、立ち上がれねぇだろ!」
腕の痛みを忘れてゆかりに駆けていく。
がくり、と膝をつく前に平田はゆかりの両脇を支えた「ひら、た。」
「なんだよ。あんま無理すん「なにがあったの…?」