ホシノカケラ

 2008-03-01投稿
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夕暮れの空はキレイだった。
こんなにそばにいるのに、こんなに好きなのに、今日で夏也とお別れなんて嫌で嫌で仕方なかった。卒業式なんてなくなればいいと思ってた。
でも、時間は止まってはくれない。
幼馴染みのあたし達は、ずっと一緒だったから?
「夏也、高校どこに行くの?」
最後の帰り道、あたしは今まで聞けなかったことを聞いた。
「んー?A校。言ってなかったっけ?」
「うん。」
こんな風に、もう話せないんだ。
「天音は?高校。」
「うん。東B学園。」夏也は振り返った。
「って、女子高?」
「そーだよ?」
ずっと一緒にいて、好きなのに彼女でもなんでもないあたしには、それが精一杯の笑顔だった。
歩きながら、夏也の背中を見つめた。
背、高いなぁ。
「何?」
「えー?別にぃ。」
小学生の頃は、あたしの方が夏也より高かったのに。
公園まで差し掛かった時、夏也はブランコを指さした。
「あれさー、俺がよくイタズラで、天音が届かないくらいに上げてたよなー!」
「あー!あれ夏也だったわけ?!」
「何?今まで知らなかった?」
黙っとけば良かったなー、って夏也は笑っている。
「寂しくなるよなぁ。」
そんなの、あたしだって…。ううん。
あたしの方が寂しいよ。
だけど突然夏也は言った。
「俺さ、まだ天音と一緒にいたい。」
「はぁ?」
夏也が何を言っているのか理解できなかった。
「好き。付き合ってください、田原天音さん?」
そんな…。でも、
こんなことって奇跡だとしか思えない。
そうじゃなかったら運命だ。
「あたしも…。ずっと好きでした!付き合ってください、如月夏也君。」
そう言ってあたしは夏也を抱きしめた。「え?マジで?!」夏也も同じだったんだ?じゃあ、さっきも同じ事考えてた?
夕暮れの空はキレイだった。たった今、星の破片が少しずつ空を埋めていた。
ずっとそばにいて、これからもそばにいる。夏也がそばにいることが、あたしにとっての幸せだ。
最後の一日は、同時に最初の一日にもなった。
これからもよろしくね、夏也。
〜終〜

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