キラー・ザ・シープ?

モザイク戦士  2008-03-01投稿
閲覧数[411] 良い投票[0] 悪い投票[0]

細山茂は、高校一年生。高校に入学するにあたって、中学の時と同様にいじめられないよう、髪形や態度、その他もろもろに注意して入学式に臨んだ。
だが、中学の時に自分をいじめていたヤツと同じクラスになってしまった。
「なぜ…立川たちが…」
初日にして、絶望した。


式終了後の教室で、さっそくヤツの「根回し」をする声が聞こえた。
「俺さぁ、あの後ろに座ってるやつと同じ中学だったんだけどさぁ……」
そういうと、中学時代、茂がいかに情けなく、貧弱で、パシリとして有能だったかを語っているのが聞こえてきた。笑い声が上がるのが聞こえた。




帰り道、茂は落胆して歩いていた。

「また……中学ん時と同じ日々が繰り返されるのか……」
初日にして退学したくなってきた。これからの「青春」は「逝春」と表記されるに違いない。


重い足取りで玄関の扉を開ける。自分の部屋へ行くためには、居間の側を通って階段を登らなければならない。
「あら茂おかえりー」
居間から母が話し掛けて来た。パートの仕事が早く終わって、テレビを見ていた。
「学校どうだった?」
「あ〜うん、いい感じ」
適当なことを言ってそそくさと部屋へ向かった。
誰とも話したくない気分だった。



早く…自分の世界へ…




茂は、はっきりいってオタクだった。ジャンルでいったらヒーローオタク。人気アニメ「スイートラビー」の大ファンだ。
だからといって、部屋がグッズまみれというわけではない。グッズはどれもプレミアがついたりなんだりで、高くて買えないのだ。
茂は、食玩やガチャガチャやカードのスイートラビーのグッズを大事に箱に入れてとっておいていた。今日もそれを開けて眺める。心が安らぐ。萌える。自分は生きているのだと感じる。
「はぁ〜…、スイートラビーかっこいいな。りりしくて、強くて…憧れるな」
しかし実際の自分を思い出した。カバンに犬の大便を入れられ、殴る蹴るズボン降ろしの刑を受けた。なにもできず、されるがままにいじめつくされた。


ベッドに横になり、これからの学校生活を想い涙した。


「ぼくに、明るい明日はやってくるのだろうか…」
今日二度目の絶望感。




だがしかし、それはやってくるのだった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 モザイク戦士 」さんの小説

もっと見る

学園物の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ