スクリーンの中で当然不良達は不平たらたらだった―\r
『ああ?不夜城!?何でそこまで連れて行くんだよ!!』
『こいつらは俺達の獲物だぜ!?今更横取りするつもりかよ!?てめえ!!』
『おいおいタクト―いくらテメエでもこれだけは聞けねえなあ』
『それとも何か?オメエは俺達全員ぶちのめしてでもこの女共はヤラセねえってか?』
『最近テメエも上役風吹かせる様になって来たじゃねえかよ?』
いきなりストップをかけられた不良達はタクト―どうやらそれがリーダーの名前らしい―にゆっくりと詰め寄りながら、よってたかって絡み始めた。
そしてその中の一人が、不機嫌そうな面構えを崩さないタクトの胸ぐらを掴み上げた。
『おいタクト、前々からテメエは気に入らなかったんだよ!!いちいち指図しやがって、二度とその口聞けねえ様にしてやろうか?ああ?――!!!!!』
パンッ パンッ!
意気がる不良の啖呵の末尾は乾いた破裂音にかき消された。
さっきまでの怒鳴り声は悲鳴とうめきに変わり―\r
『う…ウギャアァアァアァァァッ!!!!』
血と煙を盛大に吹き出す膝を押さえながらさっきの不良が汚い地面をのたうち回る!!
そうだ。
撃ったのはタクトだ。
『一々イラつかせんなコラ!』
どちらかと言うと大人しそうな美男子顔が一気に引きつり、今だ硝煙をくゆらす拳銃を握りしめながら、タクトは狂暴な本性を露にした!
『ぶちのめすもなにもテメエら全員撃ち殺してやるよ!!!!』
パンッ パンパンッ!
タクトが怒りのままに引金を引く度に、今しがた地面に倒れた不良が無様な痙攣を繰り返し、やがて全身のあちこちから血の噴水を出しながら彼は絶命した。
『俺に―逆らうんじゃねえ』
1000人の悲鳴とどよめきが体育館を埋め尽した。
事実、それは見るものをパニックに陥れるに十分な光景だった。
完全にイカれた目付きのタクトに睨み付けられた不良達は、震えながらズボンをはき直し、三人の女子生徒を起こして彼のそばに押しやった。
時を経ずして派手なデコレーションを凝らした高級車が到着し、開いた後部ドアから彼女達を先に乗せ、タクト自身は助手席に陣取って、すぐに発進させた。
そして、仰向けに倒れた射殺体のアップが再び写され―映像はそこで途切れた。