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ウグイ  2006-04-24投稿
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「それは分かる。失われた文明を生きていた時代の先駆者達……『フォアランナー』だろ」

カインは一度、グランが口にした『死の灰』に埋もれた町並みを見回した後、グランに言った。

『フォアランナー』

それは最も栄えた古代文明に生きた人々の事……昔、誰かにそうカインは教えてもらっていた。
車両と呼ばれる四駆の乗り物が大地を走り回り、空を飛ぶ巨大なる乗り物、航空機が空を駆け、現在の技術では再建不能な建物が多く立ち並んでいたと言う。

「そのフォアランナーが自分達で『死の灰』をばらまいたんだよ……」

不意に聞こえた悲しげな声はアキの声だった。

「ばらまいた……?」

静かに尋ねたカインの質問に、グランは訳もなく歩きだしながら質問に答えた。

「……技術の進歩ってのは恐ろしいモンだ。フォアランナー達は自分達の国、財産、領地を廻って戦争を始めやがった……ちょうど今、帝国と共和国が戦争している様によ……」

そしてグランは足を止めると、カインを睨みつける様に凝視した。

「奴らは、その科学力と頭脳を戦争の為に使い、どでけぇ爆弾を開発し、それを航空機に積んで国同士で落とし合った」

そこまで言うとグランはカインから目を反らし、死の灰に埋もれ、すさんだ古代の町を見回した。

「……その結果がこれだ。フォアランナーは、てめぇでつくった爆弾で、自分達の文明も吹っ飛ばしちまったんだ」

「じゃあ、この砂は……」

もはや分かりきった質問をグランに投げ掛けたカインに対し、グランは溜め息混じりに答えた。

「そうだ、こりゃあフォアランナーが作った爆弾から排出された火薬のカスだ」

鼻をかすめる僅かな火薬の臭い……それは火薬のカスの臭いだったのだ。

「……このまま戦争を続ければ、私達もフォアランナーと同じで自分達で自分の文明を滅ぼすことになるかもしれない……だからカイン、力を貸して?『ヴェノム』としてじゃなくて、私の幼なじみのカイン・スミシーとして……」

カインの後方に立っていたアキは足を進め、カインの眼前に立つと力強く声を挙げた。

「悪いな、アキ。俺は別にフォアランナーが辿った滅びの道も、今の戦争も……どうなろうが別に構わないんだ。だから協力はできない……」

カインはゆっくりと首を左右に振りながら、アキに言った。



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