どんな時が自分の決断の時か龍一はアキラに意見を仰ごうとした。
「なぁ、アキラ・・・」
「・・・」
返事が無い。
「なぁって・・・ん?」
振り向き、アキラを見ると少し後ろで歩くのをやめていた。と、ゆうより・・・(と、止まってる!?)
アキラは次の一歩を踏み出す途中で静止していた。龍一は急いで時計を見た。やはり時が、止まっている。
「ヒタ・・・ヒタ・・・ヒタ・・・」
「!」
目の前の闇からそれは聞こえた。身も凍るような冷たい足音が。
(やばい!逃げないと・・・アキラッ・・!)
逃げようと思ったが、今回はアキラがいる。一人で逃げるわけにはいかなかった。
しかし胴体を持って持ち上げようにも、引きずろうにも静止したアキラはびくともしない。
「くそっ・・・なんで動かねえんだよっ・・・!ここにいたら・・・殺られちまうっ・・・!」
動かない。全く動かない。そうしているうちに『恐怖』は闇から現れた・・・
「ヒュー・・・ヒュー・・・ヒュー・・・」
白い巨体が闇夜に浮かぶ、あの時の恐怖が蘇る。龍一は涙目になりながら力を強めた。
「くそおっ!動けぇっ!」願いも虚しく、アキラはピクリともしない。
その時だった・・・
「ヒタ・・・ヒタ・・・ヒタ・・・」
「何!?」
さっきとは別方向から足音が聞こえた。
「嘘だろ・・・!ちきしょお・・・二体もいやがる!!」