「何だ?そうぞうしい」
上原は、そんな事をつぶやきながら扉を開けた。
開けると、そこに小さな男が立っていた。
「ああ、オマエか」
その男は、阿倍慎太郎といって、つまり上原の後輩にあたる人物である。
KO大学時代の彼は、俺と同じで世間から、ちやほやされてプロ入りしたんだけど、自分のポジションである捕手は既にスター選手がいるため、1軍にあがれずじまいなのである
だから、2軍で先輩上原と仲良くやっているのである。
「今日は何だ?」
続けてたずねる。
「何って今日は僕達の契約日じゃないですか」
「あっ、そうだ!すっかり忘れてた」
そうそう、俺が今日、何があったんだっけ?の内容を思い出した。
「早く行かなくては」
上原は壁にかけてあった スーツに素早く着替えて球団本社に阿倍と供に向かった。