こんなにも
誰かを好きになったのは初めてだった。
すべてを捨てても,一緒にいたいと思えた。
「宇治原-」
「紗奈-」
そう呼ばれる度に,紗奈を探してる自分がいる。
紗奈は俺の彼女。
そうなのに,不安が絶えなかった。
紗奈は正直モテる。
だって俺にはいっぱいライバルがいたから。
紗奈は誰にでも同じ笑顔で接する。
それに勘違いする奴はたくさんいるはず。
もしかしたら,俺もその一人かもしれない。
紗奈は断るコトが出来ずに,俺と付き合ってるのか??
不安は増すばかり。
修学旅行中,紗奈とはクラスが違うし,研修も違う。
だから紗奈とは何も思い出が出来ないと思っていた。
でも一週間前に,紗奈が二日目のディズニーランドを一緒に回ろうと誘ってくれた。
唯一,紗奈と二人きり。
いわばデート。紗奈と初デート。
俺は嬉しさと緊張感で気持ち悪くなっていた。
一日目は東京研修。
終わったら各自で旅館に行く。
旅館に着くと,学年の半分はもうすでにいた。
「疲れた-」
一緒に行った翼が玄関で座り込む。
「長野!!玄関に座り込むな!!」
案の定翼は怒られた。
先生から自分達の荷物をもらい,それを持って俺と翼は二階の部屋に上がった。
階段を上がるとみんながおって,俺はその中から紗奈を探した。
紗奈は窓際で外を見ながら,誰かと話してた。
誰だろう…??
俺は紗奈達にバレないように近づいていく。
アイツだ!!!!
なんかムカつく。すげ-ムカつく。
アイツは紗奈の頭をクシャクシャする。
紗奈は「せっかく整えたのにやめてよ-」って言う。
端から見れば恋人同士みたいだった。
俺はその場にいるのに耐え兼ねて,自分の部屋へ行った。