彼女の僕

merado  2008-03-04投稿
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「僕は君の奴隷じゃないし、君も僕の奴隷じゃない」僕は彼女にこう言った。
僕と彼女は最高のカップルだった。そう、一年半前までは。
彼女はとても背が高かった。それにスタイルも良かった。間違いなくモデル並だろう。
付き合い始めた頃はそんな彼女にドキドキした。
彼女とはよく遊園地に行った。一緒にジェットコースターに乗って、二人で思いきり叫んだ。
大好き、と。
しかし、そんな彼女との関係は長くは続かなかった。
原因は全て僕にある。
その後、半年もしないうちに浮気をしてしまったのだ。若さゆえの過ちとも言えるかもしれないが、彼女の怒り方はそんなものではなかった。
目を真っ赤にして泣き、ひたすら僕に何かを叫んでいた。
そんな彼女を僕は初めて見た。この時になって僕はやっと彼女の弱さを垣間見ることができた。
その一方で、僕の中ではどうしようもない罪悪感が胸をつまらせていた。
こんな事はただのココロの逃げでしかない、そう何度も繰り返した。
しかし、僕は言ってしまった。あんなに泣くまで僕を好きでいてくれた彼女に。
「僕は君の奴隷じゃないし、君も僕の奴隷じゃない。だから、僕が他の女性と少し遊んだぐらいどうって事ないだろ。」
こんなこと成り立たない事ぐらい分かっている。
ただ、僕にはもうどうしようもなかった。
これ以上、彼女が泣いている姿を見たくはなかった。
彼女はその言葉を聞いた途端、泣き止み、何も言わず僕に背を向け歩いて行った。
その翌日、彼女は死んだ。自殺だった。
遺書や置き手紙もなかった。それが僕には辛かった。
自分のせいだと分かっている。だから、何か言って欲しかった。身勝手な事も分かっているが、僕を責めて欲しかった。
結局、彼女は最後まで僕に何も言わなかった。
それが僕が彼女に言った事の答えだろうか。
僕は彼女の奴隷として一生を過ごしていかなければならなくなった。
僕の言った事にはそれだけの重さがあったのだ。
彼女は僕にそう教えてくれたのかもしれない。

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