あなたへ

ゆうこ  2008-03-04投稿
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あたしは、愛していた…あの人を、誰よりも。
それこそ死ぬほど。
あの人は、あたしの想いに戸惑っているみたいだった。
怪訝な顔であたしを見つめ返し、首を傾げる。
まるで何を見ているのかわからないみたいに。
そんなこと決まってる。あたしはあの人の全てを見ていたい。
仕事をしている貴方。
電話をする時、長くて細い指先が書類を叩く。
嫌なことがあると眉をひそめ、嬉しいことがあると子供みたいに微笑む。
ああ、あなたが好き。
あなたが、あなたが全てなの。
あたしにとって、文字通りあなたは輝いている。
この想いを伝えたくて、あたしは貴方の手に触れた…。

あなたは驚いて、その手を引いた。
私はそれ以上の勇気が出ずに、立ち去った。

愛してるの。
貴方のその指があたしを苦しめるの。
あたしはぼんやりここに突っ立って、いつか貴方がここから去るのを見ていなければならないの?
いやよ。
いや!いや!いや!
それだけは出来ないわ。
例えば運命が歯車としてあたし達を引き裂いても…だとしても…あたしは逆らってみせる。

温かな貴方の頬に触れ、口づけし…。

あなたは悲鳴をあげた。みんなが貴方を見てる。
「あいつがいるんだ!」
あなたは叫ぶ。
みんなは怖いような、恐れるような顔で、何も言わない。
静寂のなか、あなたは笑った。

「確かにあいつは…俺が…この手で…」

ああ!とうとうあなたはあたしを認めた!

あたしは嬉しくてあなたにしがみついた。
あなたは青ざめて…あたしを抱くように自分を抱いた。

あたしはあなたを愛してるのよ…。
死んだって逃しはしない
あたしの首にあなたの指がからまったあの日、あたしは永遠を感じた。

あたし…あなた…

それだけの世界で

悪いことなんて何もない

そうでしょう…?



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