【3回裏天豪三ベンチ】
3回表に無死1、2塁からの三者連続三振で藤城打線を0に抑えた川浦は意気揚々とベンチへ帰って来た。
川浦『いやぁ最高だったね!ピンチはやっぱしびれるぜぃ!』
雪村『まだ序盤だぞ。油断するなよ』
と捕手の雪村が声を掛けた。
川浦『わかってるって。まぁ今んとこ打たれる気はしねぇけどな』
川浦は自信満々だ。
天豪三ナイン全員がベンチに戻ったところで土谷が口を開いた。
土谷『さっきの回は0でピシャリと抑えられて良かったと思う。あとは攻撃だ!!相手ピッチャー、前の回からシュートも投げてきてるらしいから、この回捉えて主導権握るぞ!!』
全員『はい!!』
この回は4番石堂から。
その石堂に土谷が声を掛けた。
土谷『石堂!相手のピッチャーどうだ?打てそうか?』
石堂は冷静な表情のまま答えた。
石堂『あの投手なら打ち崩せますよ…大したことないですね…』
サラッと言った。
土谷『そうか!頼むぞ4番!!あと、できればシュートに絞って狙ってくれるとこれから攻略しやすいんだが…』
表情を崩さないまま石堂が再び答える。
石堂『わかりました…シュートを狙います…』
と、言うと打席に向かって行った。
石堂秀人(イシドウヒデト)
昨年から天豪三の4番に座るスラッガー。川浦と同様、打撃に関して言えば彼は天性の才能を持った人物であるだろう…
そして、多くを語らずバットで結果を出す。チームメイトからも『ヒデ』と呼ばれ慕われている。
ちなみに神主打法である。
その石堂は考えていた。
石堂(初回から使ってこれたはずのあのシュート…それをなぜ初回は使わなかったのか…
それを考えれば、おそらくあの球は完成された球じゃない!
狙うならこの打席だな…俺の1本であの投手は崩れる!!)
シュートを狙い打つことを念頭に置き石堂は打席に入った。
藤城バッテリーもピッチング練習が終わりいよいよ3回裏が始まろうとしていた…