『今夜、旦那とがんばって♪』
と彼からメールが来た。ひどい人だ。と思う。
昼間、重なってつながったばかりなのに、何の嫉妬もしてくれない。
そういうの了承の上での関係だとはわかっているけど…
『そりゃないよ!』
彼が私を唯一束縛するのは『口』だ。
『旦那には口でしないで欲しい』と言う。セックスはいいがオーラルはダメだというのだ。
私は現代人の性風潮からいくとサービスの悪い女だろう。
直接的に自分が気持ちよくならない行為は、誰にでもはしたくない。だから愛撫フルコースに口は含まれない。オプションである。
相手を翻弄したい時、スケベメーターがMAXにふりきっている時、そして…心がとろけている時する。
仰向けに寝ている彼の足元からゆっくりとキスをする。たくさんの唾液と熱い息で『カレ』を包む。私の技巧で彼が反応する。せつなげな表情、甘いため息。私は男になっていく。舌で感じ、目で楽しむ。
そして体中を潤ませながらも私は男の口で言う。
『挿れてください…は…?』
さぞかし好色な顔をしているだろう。
彼は女の心で、私の唇と舌が相手に与える快感に嫉妬するのかもしれない。