「どうしたもんかな…」
私は教室で弁当を食べながら暗い顔をしていた。
「ん?あかりどした?てか、あんた今日も遅刻だったじゃん。学校に昼飯だけ食べにきてるよーなもんだな」
と友達の早紀。しっかり者の姐御肌だ。
「いや…あまりにも天気良かったから日なたぼっこしてた」
「どんだけ自由なんだよ」早紀が呆れ口調で言う。
いつもなら掛け合い漫才の様に会話は続くが今日はそんな元気も余裕もない。
何も言わず黙って俯いていると早紀がそれに気付いて心配そうに尋ねてきた。
「あかり、今日なんか変だよ?何かあった?」
「いや…何でもないよ。ただ…」
「ただ?」
「…一年の坂城悠斗と付き合う事になった」
口に出すのも嫌で若干早口になった。
「え…ちょ、あんた。坂城ってあの坂城?」
私はコクンと頷く。
「ま、そういうことだから!さらば!」
このままだと余分な事まで話してしまいそうなので弁当を鞄にしまうと逃げるように教室を後にした。
「ちょ…あかり、授業は?やっぱあんた昼飯だけ食いにきたのね!」
後ろから早紀の声が追いかけてきたが、かまっている余裕は無い。
屋上に辿り着き、ゴロンと大の字に寝転がる。
ふと坂城の顔が頭を過ぎる。坂城はあの時、私にこう言った。
「お願いがあります…俺と二週間だけ付き合ってください」
坂城は訳を詳しくは語らなかった。
「また時間がある時に話します」
そう言って去っていった。「あー、めんどくせぇ!」私は腹立つほどに澄み渡った空に向かって叫んだ。
続く