奈央と出会えたから。<96>

麻呂  2008-03-06投稿
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* * * * * *

聖人と付き合って1カ月が過ぎていたー。


放課後に3-5の教室へ行く事はー


いつの間にか、
あたしと聖人の日課になっていたー。


あたしと付き合う前はー


聖人は、ここまで頻繁に3-5の教室へ行く事は無かったと思うー。


人と群れで行動する事を好まないしー


わいわい騒ぐ事も苦手だった聖人がー


放課後、いつも3-5で親友のサトル君を交えて、取り巻き達と雑談するー。


あたしは聖人の彼女ってだけで、
その仲間に入れてもらえたけれどー


三年生の先輩達はー

やっぱり、あたしよりずっと大人びて見えたー。


あたしが一際目を引いたミズホさんはー

初めて見たトキから同じ女性としての魅力溢れる、憧れのヒトだったー。


あたしもミズホさんみたいにー


大人っぽくなりたいー


色っぽくなりたいー

可愛くなりたいー


いつもそんな思いでミズホさんと接している自分が居てー


いつの間にかあたしはー


“ミズホコンプレックス”を持ってしまっていたー。


ふと隣を見るとー


聖人が相変わらず、サトル君と車やバイクの話で盛り上がっているー。


勿論ー


あたしのコトはほったらかしでー(笑)


あたしは話に付いて行けなくてー


そんなあたしに、
いつも気を遣ってくれたのはー


あたしがコンプレックスを持っている、ミズホさんだったー。


『奈央ちゃんの髪って、見事にストレートで綺麗な黒髪よね。』


ミズホさんが、あたしのセミロングの黒髪を見て言ったー。

『そんな事ないですよ。あたしは、ミズホさんの、茶色でふわふわの巻き髪に憧れちゃいます。』


それは本心だったー。


だってー


あたしの髪は、いわゆる三重苦だったからー。


硬くてー


太くてー


量が多いー(笑)


『ミズホさん、あたし縮毛矯正もしてるし、シャギーとレイヤーも多めに入れて、かなりすいてもこのボリュームなんですよぉ。』


憎き、あたしの三重苦の髪ー。


絶対、風に靡かないしー(笑)


『あたしはコシが無くて、猫っ毛だから、ボリューム出すのに毎日苦労よぉー。』


そう言ってー


ミズホさんが、ふわふわの巻き髪を、指先でくるくると巻きつけたー。



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