「・・・・。」
部屋へ飛び込んだ沖田の目には、最後の一枚が今にも脱げてしまいそうな姿が写って、
びた
と戸に張り付いた。
「・・え〜と、・・・・。」
まごまごしているうちに
ひら
と前がはだけてきた。
とっさに、すでに脱げてしまった着物を掴んで
わふ
と包んで、帯で
ぐるぐる
巻きにした。
「・・・え?」
ほ
とする間もなく、また帯がほどけてきだした。
わ
覆いかぶさる様に、帯を押さえた。自然、抱きしめる形になる。
「・・。」
顔と共に全身が、熱い湯に浸かっているかのように熱を持った。
「おい、どうだ?ふんじばったか?」
戸を親指が入る位少し開いて、新八が覗くと、沖田がみきをひっつかんで首だけ向けていた。
「新八さん、どうしましょう?」
「放っとくと駄目か?」
こくん
頷くのを見て腕組みする。
う〜ん
新八の頭で考えても良い知恵も浮かぶはずもなく、
「沖田、そのまま押さえてろ。」
ぴ
閉まったかと思うと暫くして、また
ぴ
と開いた。
「おい、総司。」
土方さ〜ん
情けない声に、持っていた縄の束を横面へ、
わし
と投げつけた。
「それで一度縛ってみろ。」
沖田がまた
ぐるぐる
巻きにして、少し経つと、やはり
するん
ほどけてくる。土方はその様子を見て、今度は縄を解きはじめた。