その様子を見ながら、ミリスは、
何で攻めに出ないのかしら？―＼r
と、首を傾げた。
ロイは依然として、リリーの繰り出す剣をただ受け止めているだけであった。
「ロイ、攻めなさい！」
これではらちがあかないと判断して、ミリスはたまらずロイに叫んだ。
「えっ？」
その声に驚いたロイは一瞬、ミリスの方に顔を向けてしまった。
「隙あり！」
その隙を逃さず、リリーはロイの胸を突いた。
「うわぁっ！」
ロイはその攻撃を受けた衝撃で、尻餅をついた。
「やった、勝った！」
リリーは喜んで、剣を高らかに掲げて胸を張った。
「くうっ、負けたあ…」
涙ぐみながら、ロイは尻を擦りながら立ち上がった。「ロイ、あんた何やってんのよ！？」
ロイの目の前に立って腕組みをしながら、ミリスは詰め寄った。
「あんたのさっきの戦い方は、ルイスとの戦い方とは全く違っていたわ。どうしてそんな事を？」
「え…？」
きょとんとしながら、ロイは不思議そうな顔で、ミリスを見た。
「…なるほど…意識して無いのね」
ミリスはその顔を見ながら、一つ大きくため息をついた。
「…いいわ。剣術はここまででいいから、ロイはエミリア姉さんの所に行きなさい」
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