『千夏さ、俺に彼女いるの知ってた?』
仕事を終えて部屋でまったりしてたあたしの元に届いた一通のメール。
こんなときだけ働く“女の勘”ってのは鋭くて、すぐにこのメールを送ってきたのが『彼女』だってわかった。
『はぁ…めんどくさっ』
そうつぶやいた後あたしは一言メールを打つ。
『だから何?』
とことんかわいくない女だ。
そもそもこのメールの差出人とあたしの関係は…
友達の紹介で3ヶ月前に知り合った。仕事が忙しいあたしを気遣ってくれて週末は毎週なんだかんだ会ってた。名前はヒロキ、年はあたしと同じ22歳。短大を卒業して働いているあたしとは違いヒロキは今年卒業する大学4年生。
容姿端麗でいかにもモテ系。でもあたしはそんなトコじゃないヒロキの優しさに魅力を感じてたのに…
そんなこと考えてたら電話が鳴り響いた…
予想通りディスプレイには
ヒロキ
『もしもし…?』
あたしが少し低い声で電話にでると
『千夏?マジごめん。』
明らかに落ちてるヒロキの声。
『何の用で電話してきたの?』
『お前と連絡とってるのが彼女にバレて…』
…んなこと説明されなくてもわかるし。ってか彼女いたのかよ!?
なんて考えてたら…
『もしもし…?あたしヒロキの彼女です。本当こいつ最悪でマジ許せなくて…
ヒロキとヤッたんですか?』
…さすがのあたしだって腹がたった。
『あんたさ、ヒロキの彼女なんでしょ?それならヒロキの言うこと信じてあげれば?ヤッたとかヤッてないが問題なの?あんたら二人のことにあたし巻き込むな。』
…反応ナシ
と思ったら
『ック…ヒック…ごめんなさい。』
なっ泣いちゃったよ・・・
しばらく放置するもまだシクシクしてるし電話も切らないし…
『あのね、大丈夫だょ?あたしとヒロキは何もないから。もう泣かなくていいから。ヒロキを信じてあげたら?』
『ありがとうございました。』
…どーいたしまして!?なんか納得いかないけどやっぱ辛い思いしてるコにキツくあたれないし。
電話を切って携帯を投げた。
まただ…。やっぱり信用するだけ損なんだ…。
もうあたしは泣く気も起きなかった。