ノール「でも?」
少し不安な顔でノールが聞き返す。
クレイン「…聞いたら、きっと後悔すると思うの。でも、それでも、気持ちが変わらないのなら…」
ノール「わかった。たぶん…きっと大丈夫。」
そう言ったノールを信じて、クレインは目をギュッと閉じて答えた。
クレイン「…私っ…男なの!!」
ノール「ぉ…男…!?」
今度はノールの声が裏返った。
確かによく考えてみれば、“クレイン”は男らしい名前だ。
クレイン「はは…やっぱ、引いたでしょ?」
今まで数々の女性と一夜を共にしてきたノールだが、男の経験はもちろんさっぱりない。
けれど、なぜかノールの中に男でもいいから付き合ってみたいという気持ちが湧いてきた。
ノール「引いたというか…驚いたというか…。男を好きになったことはないけど…、クレインならクレインとして好きでいられる…かも…」
ちょっと弱気だったが、いつの間にか敬語でなくなったノールは、初めて味わったの不思議な感覚を信じてみようと思った。
そんなノールに、クレインが最初の試練を与えた。
クレイン「じゃあ、“僕”にキスできる?」
グイッと近寄ってきたクレインの顔が、やたら男らしく見えた。