空は爽快な青、太陽は大変喜んでいる様子。
しかし、そんな景色に目もくれずに部屋でガサゴソとやかましい音をたてている青年がいた。
佐藤周一(さとう しゅういち)、高校2年生。
今日は部活も休みの日曜日。ただゆっくりしているのもなんなので、たまには部屋の掃除をしようと張り切っている。
『…お?』
周一が棚の上からおろした段ボールに挟まっていたのか、一枚の写真が床に落ちた。
それはお世辞にも綺麗とは言えないほど色あせていて、古い写真ならではの独特の色を出していた。
『ホコリが凄いなぁ』
写真に文句をぶつけるようにそう言いながら、長年かぶっていたと思われるホコリを手でサッサッと払った。
『…』
ホコリで隠れていたのでわからなかったが、自分と同じくらいの男の子と、小学生くらいの女の子らしき人物がそこには写っていた。
『兄弟かな?だけど…』
周一が険しい顔で、写真を見つめながら言った。
『でも、…何なんだよ。これ』
兄弟らしき男女が写った写真は、兄と思われる男の子が女の子を肩車している、日常ではごく普通な穏やかな光景だ。
しかし、一つ気になる点があった。
女の子の顔が、無かったのだ。