古い写真2

瓠月  2008-03-09投稿
閲覧数[464] 良い投票[0] 悪い投票[0]

『…』

恐怖に震え出した手を抑えながら、その写真を机に裏返しに置いた。

気持ち悪い感じがしたので気を紛らわそうと、音楽をかけた。

コンポから出される素晴らしい音色を耳でとらえながら、掃除の続きを始めた。

しかし、数分後。





…ザ…ザザー

『あれ…』

窓を拭いていた手を止めて、急にノイズが鳴ったコンポを調べる周一。

『新品のCDなんだけどなぁ…』

とりあえずほっといたら直るだろと楽観的に考え、窓を拭こうと思ったその時。

背後に何かの気配を感じた。


『……』


急に部屋が寒気に包まれた気がした。
強烈な視線のようなものを背後から感じた。

恐怖に固まっている周一は、勇気を出して振り向くことにした。


バッ!と素早く振り向くが、そこには何もいなかった。

『…気のせいかな?』



ふと、目を机に向けると、さっき裏返したはずの写真が表向きになっていた。
あの、顔の無い女の子の姿が、周一の目にあらためて入った。


『…』


言葉では表せない、とても気持ち悪い感じがまた襲って来た。
相変わらずコンポはノイズを発している。

部屋から出ようという考えは浮かばず、まるで操られているように窓を拭き始めた。


『あれ、曇ってる』


あんなに喜んでいた太陽も、これでは不機嫌になってしまう。
穏やかな気持ちに戻りかけたこのタイミングで、また寒気が襲って来た。

さっきより強力な、体を縛り付けるような感覚。
背中と額を伝う汗が、服をジワジワと湿らせていく。


『(…何か、いる…)』

窓の方をを向いている周一は、運が悪い事に窓に自分が写っているのに気付いてしまった。

動かない体の肩に、白い何かが乗ったのを、窓に写った自分を見て確認した。
ゆっくり肩に姿を現すそれは


『(……指だ…!)』


小さな指だった。
姿を現しきったそれは、同時に、次に何が現われるかを周一に悟らせた。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 瓠月 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ