『……思ってはいたけど、やっぱり暗いね』
懐中電灯で暗い道を照らしながら周一は言った。
母親はあの写真を入れた封筒を手に、しっかりと確認しながら持っていた。
もう家を出てから13分くらいが経った頃だった。
『母さん…あれ』
周一が目を丸くして、懐中電灯を持っていない左手で、前にいるそれを指さした。
母親は誰だろうかと見つめた。
周一はどこか気持ち悪い感じを感じ取っていた。
<<あの男の子だ…!>>
二人は言葉には出さずに、目線でお互いにそれを確認をした。
そう、二人の前にいたのは、あの古い写真に写っていた男の子だった。
<…しゃしん……>
肌の色あせた黒い唇から発されたその言葉は、二人を一気に強張らせた。
『(母さん、どうしよう!)』
横目で訴える周一。
『(……)』
しかし母親は返事をしない。
『(母さ…!こっちに近づいてくるよ!)』
恐怖が限界に達していた周一は、混乱状態だった。
その間にも、男の子は二人に着実に近づいていた。
その時だった。
意を決した母親が放った言葉に、男の子は立ち止まった。
『写真がほしいの!?……今からこれは焼くの!あなた達のためでもあるの!』
そうはさせない、そう言わんばかりに男の子は引きずる足を速めた。
『母さん、挑発しちゃ』
『大丈夫、写真はこっちに…』
母親が封筒を持った右手を上げようとしたその時、今まで気付かなかった【それ】に気がついた。
それに気付かなかったのはあの男の子に気をとられていたからかもしれない、だけどそれは……
生暖かい感触が母親の腕を掴んでいた。
<…………>
母親が上げようとした腕を、真っ黒な、塗り潰されたような顔をした少女が真剣に掴んでいた。