古い写真6

瓠月  2008-03-09投稿
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『周一!!』

『…母さ…ん』

母親と警備の人が周一の元へ走って来た。

『母さん、あの二人は…?』

『…終わったのよ、全部』

周一を優しい微笑みで包むと、ごめんなさいと何度も言いながら周一を抱きしめた。




周一が後日、改めて母親に昨夜の事を聞くと

あの二人が急に消えたのはこの世に存在出来なくなったから、つまり写真を焼かれたからだと言う。

だけど写真は、と周一が母親に問いかけると


『実はね、周一に渡した写真は偽物なの。本物は別のとこに持ってたの』


と満面の笑みで自慢した。

「敵を欺くにはまず味方から」とは、まさにこの事なのかと周一は深く溜息をついた。



そして、周一は知らなかったが周一が走っていった後に現れた警備の人は実は神主さんだったそうだ。

神主さんはコスプレ好きで正義感が強く、警備の格好をしてはしょっちゅう若者などを注意して回っているそうだ。

そして、座り込んでいた母親の元へ警備姿で来た時に、親から事情を聞き、あの写真を供養してもらったそうだ。

なんと偶然な出会いだろうか。




もし偽物の写真を母親が用意していなかったら。

もし神主さんが母親に会わなかったらとか、今となって不安がわいてきた。




だけど、あの男の子と女の子が何の目的でこの世に現れて、捨てた筈の写真がなぜ周一(僕)の部屋にあったのか。

そして、なぜあの写真を見てはいけないのか、どうして女の子の顔が消えていて、この世では真っ黒に塗り潰されたようになっていたのかは

今となっては


知るよしもない。

〜完〜



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