一つ息をつくと、アルコールの残り香が鼻孔をかすめた。
(...飲み過ぎだな)
もう少し水を飲むため、ジキルを起こそうとカウンターの中に入る。
酒ビンが散乱するカウンター。一歩進むごとに、カランカランと小気味良い音が騒ぎたった。
「おい、起きろ!オッサン」
遠慮無しに、ジキルの肩を揺らす。
「起きろっつってんだよ!おい、ジキル!!」
しばらく揺らすと、ジキルが小さなうめき声をあげた。
揺らしすぎかと思ったが、すぐに考え直して揺らし始める。
(どうせいつもの事だしな。起こすこっちの身にもなれってんだ!)
「おい、ジキル―――」
「あ゙ぁ?うるっせぇな!酒ならその辺にあんだろが!」