その夜夢を見た。
両親が天井からぶら下がってユラユラと揺れている。
あの時の光景…。
私はあの時と同じ様に、しばらく眺めてから母親の真っ赤な涙を拭う。
「泣かないで…。」
そう言った後、母親の顔から手を放すと…
今まで白目だった目が
ギロッと私を見た。
うぅぅっ ぐふっっうっ
母親は口から真っ赤な血を吐くと激しく手足をばたつかせた。
父親は白目のまま動く気配はないが、何故か腹から大量の血が滴っているのに、初めて気付いた。
私は呆然とその場に立ち尽くした。
すると、今まで見た事のない様な恐ろしい顔で母親は奇声を発した。
ギャーギィーぐふっギィーっ
私はあまりの恐ろしさにガタガタ震えながら動けずに固っていた。
「お前の、お前の目…。お前さえいなければ…。お前の目…」
母親は最後にそう言うとピタッと動かなくなった。
私は飛び起きた。
嫌な夢だ。
そう思っていると白い影がすぅ〜っと消えて行くのを見た。
それっきり白い影は現れなかった。