『へへっ…へへへっ、コイツは良いや』
大隈リキはにやにやと笑いだし―\r
『さすがは大所帯を束ねる九重会長―そんじょそこらの烏合の衆とは違って話が早い』
ゆっくりと自席に戻り、大人しく座った。
『それじゃ言いましょうか?梅城ケンヤの目的は簡単さ―討伐でもなければ戦争でもない。あいつの狙っているのは―虐殺さ』
『はん!馬鹿げてる』
即座に安東副会長はそれに噛み付いた。
『大体根拠がないじゃないか』
だが―\r
『俺の勘が根拠ですよ』
大隈リキは不敵でぎらぎらした笑みで応じた。
『少なくともあんたよりは余程アテになりますがね』
苦虫を噛み殺した表情で、安東タロウは生意気過ぎるオブザーバーをしばし睨み付けた。
だが、恥も外見もなくわめき散らす分けにも行かず、
『だったらその勘とやらがどれだけの物なのか、説明して欲しいな。我々にも分かる様に』
『そいつぁ構いません』
大隈リキは相変わらず不敵な様子を崩さなかった。
『だがその前に九重会長―あんたに頼みがある』
一同の視線が半分ずつ、モエと大隈リキに集中した。
『私―に?』
『ああ、この俺をあんたの―いや、穏健派でも良いのだが―参謀にしてくれないか?』
『冗談も休み休み言えよ』
安東タロウは再び腕を組み、眉間にしわを寄せた。
『何だって君ごときに我々全体の作戦を任せなきゃならんのだ』
『おや?俺の《勘》の在りかを知りたいんじゃなかったので?』
『高く付き過ぎだ。調子に乗るんじゃない』
安東副会長はそっぽを向いた。
だが―\r
『確かに参謀は難しいです』
ノートパソコンを閉じて、霧島ユウタが思いもかけない助け船を出した。
『ですが、まあ今後作戦なり進言があれば、色々と受け付ける事も出来ますよ大隈会長―まずは貴方が戦果なり実績を見せて下さい』
この提案に―\r
大隈リキは乗った。
『つまり俺が自分で動いてみろと―なるほど確かにそうだ。誰もタダで取引きするわきゃないんだからな』
『彼に付いては私が責任を負います―これでいかがでしょう九重会長?安東副会長?』
霧島ユウタには何か目算があるみたいだった。