『ごめんなさい。うそをついてばかりだったけれど、海(かい)を愛していたことだけは、この気持ちだけは信じてください。それと最後に、約束をやぶってしまってごめんなさい。』 僕の愛した人はこの日記だけを残して消えてしまった。あんなに近くにいつもいたのに、何も気付いてあげられなかった。彼女はずっと苦しんでいたのに、僕は助けてあげることができなかった。それどころか僕が彼女を苦しめていたんだ… 舞(まい)… ごめん… 舞と初めて会ったのは、高校一年の春。入学式の朝。中学の時の担任や友人、家族さえも受かる見込みがないと、あきらめていた高校に奇跡的に受かった。実際のところ、自分でも一生分の運を使い果たしたと驚いていた。僕が合格した高校は県一の進学校で、何よりも2年前に改築した 校舎が何とかという有名な建築家設計だったし、それと同時に制服のデザインも変わったこともあり、僕にとって憧れの高校だったし、それはほかの誰にとっても同じだった。 入学式の前日、あまりの嬉しさと興奮で眠れずに遅刻をしてしまった。