25億円の行方〜最終話〜

ナツミ  2008-03-13投稿
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たわいもない話をしたあと彼からもらったエネルギーを糧に研究に没頭した

その頃、会社にあるユニークな決まりが設けられた

『利益をあげたものは、その利益の半分を所有する、またグループでの利益の場合は残り半分をリーダーが50%、残り50%はその人数で分ける』
というものだった

願ってもないチャンスだ、38億の利益をだせば命が助かる

3年目、彼の命まで12ヶ月、向こうの医者の承諾が得られるまであと9ヶ月

それまで行っていた研究開発を一時ストップし、利益の出やすい美容関係に着目した

毛穴引き締めシート、アトピー用保湿クリーム、長持ちオーガニックコスメ

これらは爆発的にヒットし、さらなる会社の発展に貢献した

彼の命まであと2ヶ月、間に合った、交渉をするべく彼の病院にお金が用意できることを報告し、早く手術をしてもらえるように手配してもらう

向こうの医者は、お金が振込まれてからか、もしくは払えることを証明できるものをとの返事だった

会社からお金がおりるのには少なくとも約ひと月半かかる、会社に事情を説明したが取り入ってもらえず、結局待つことになった

彼の命まであと1ヶ月、彼の容体は日に日に悪くなっていった

焦りといらだちが彼に伝わらないように注意した、しかしそんな矢先、私は言ってしまった

『ねぇ、今度遊園地にいこうよ、一度でいいから』

『どうして一度なの?何度でもいいのに』

私は凍り付いた、頭のどこかに彼が死ぬと思ってる自分がいる

すぐにそうだよねと話を合わせ、その場をしのいだ
大丈夫、3年前じゃないんだから

その後、お金は振込まれていなかったが、証明するものを提示したので向こうにも承諾してもらえた

手術当日、彼と彼の家族はアメリカに行った

無事手術が成功したら、何処にいこうかと考えながら、帰りを待った

しかし、彼は生きて還ってくることはなかった

承諾したはずの医者が難有りの手術から逃げたのだ、
飛行機に乗れるかどうかの体調で向こうに行った彼は急変し手を尽くしたかいもなくこの世から逃げてしまった

彼がなくなった翌日、お金は振込まれた
私は行き場のなくなったお金達をずっと眺めていた

しばらくすると、涙も出なくなってしまった

私は、全額を手元から離した
私みたいに行き場をなくした彼らがカラにならないように

生かされるべきところで

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